インボイス制度への対応(免税事業者及びその取引先)に関するQ&A

概要

公正取引委員会より、インボイス制度に関し、Q&Aが公表されています。

インボイス制度が実施されて、何が変わりますか?

課税事業者が、インボイス発行事業者の登録を受けることで、インボイスを発行できるようになります。

インボイスには、消費税額等が記載されるため、その転嫁がしやすくなる面もあると考えられます。

事業者は、請求書等の記載事項やシステムの改修等への対応が必要となる場合があるところ、改正電子帳簿保存法の活用を図るほか、デジタル化の推進のための専門家派遣や IT の導入支援などを行います。

免税事業者であり続けた場合、必ず取引に影響が生じるのですか?

売上先が、以下のどちらかに該当する場合は、取引への影響は生じないと考えられます。

①売上先が消費者又は免税事業者である場合

②売上先の事業者が簡易課税制度を適用している場合

そのほか、消費税が非課税とされるサービス等を提供している事業者に対して、そのサービス等のために必要な物品を販売している場合なども、取引への影響は生じないと考えられます。

売上先が上記のいずれにも当てはまらない場合、免税事業者の取引にはどのような影響が生じますか?

免税事業者の取引への影響に配慮して経過措置が設けられており、インボイス制度の実施後6年間は、仕入税額控除が可能とされています。

なお、売上先の意向で取引条件が見直される場合、その方法や内容によっては、売上先は独占禁止法・下請法・建設業法により問題となる可能性があります。

免税事業者が課税事業者を選択した場合、何が必要になりますか?

課税事業者を選択した場合、消費税の申告・納税等が必要になりますが、課税売上高が 5,000 万円以下の事業者は簡易課税制度を適用でき、 その場合は、仕入れの際にインボイスを受け取り、保存する必要はありません。

課税事業者は、免税事業者からの仕入れについて、どのようなことに留意すればいいですか?

簡易課税制度を適用している場合は、インボイスを保存しなくても仕入税額控除ができるため、 仕入先との関係では留意する必要はありません。

簡易課税制度を適用していない場合も、取引への影響に配慮して経過措置が設けられており、免税事業者からの仕入れについても、 制度実施後3年間は消費税相当額の8割、その後の3年間は5割を仕入税額控除が可能とされています 。

また、消費税の性質上、免税事業者も自らの仕入れに係る消費税を負担しており、その分は免税事業者の取引価格に織り込まれる必要があることにも、ご留意ください。

課税事業者が、新たな相手から仕入れを行う場合、どのようなことに留意すればいいですか?

簡易課税制度を適用している場合は、インボイスを保存しなくても仕入税額控除ができるため、 仕入先との関係では留意する必要はありません。

また、簡易課税制度を適用していない場合は 、 取引条件を設定するに当たり、相手がインボイス発行事業者かを確認する必要があると考えられます。

免税事業者から仕入れを行う場合は、設定する取引価格が免税事業者を前提としたものであることを、互いに理解しておく必要もあると考えられます。

仕入先である免税事業者との取引について、インボイス制度の実施を契機として取引条件を見直すことを検討していますが、独占禁止法などの上ではどのような行為が問題となりますか?

1 取引対価の引下げ

2 商品・役務の成果物の受領拒否等

3 協賛金等の負担の要請等

4 購入・利用強制

5 取引の停止

6 登録事業者となるような慫慂等

この記事を書いた人

mtbcpa

東京都文京区の税理士・公認会計士です。
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