源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例とは?

源泉徴収した所得税及び復興特別所得税は、原則として、給与などを実際に支払った月の翌月10日までに国に納めなければなりません。

しかし、

給与の支給人員が常時10人未満の源泉徴収義務者は、源泉徴収した所得税及び復興特別所得税を、半年分まとめて納めることができる特例があります。

これを納期の特例といいます。

納期の特例の概要

この特例の対象となるのは、給与や退職金から源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税と、税理士、弁護士、司法書士などの一定の報酬から源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税に限られています。

この特例を受けていると、その年の1月から6月までに源泉徴収した所得税及び復興特別所得税は7月10日、7月から12月までに源泉徴収した所得税及び復興特別所得税は翌年1月20日が、それぞれ納付期限となります。

この特例を受けるためには、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」(以下「納期の特例申請書」といいます。)を提出することが必要です。

この納期の特例申請書の提出先は、給与等の支払を行う事務所などの所在地を所轄する税務署長です。

税務署長から納期の特例の申請について却下の通知がない場合には、この納期の特例申請書を提出した月の翌月末日に承認があったものとみなされ、申請書を提出した月の翌月に源泉徴収する所得税及び復興特別所得税から、納期の特例の対象になります。

納期の特例の対象となる時期

(例) 納期の特例申請書を提出した月が2月中の場合

(給与等)2月支給分    → (納期限)3月10日
(給与等)3月~6月支給分 → (納期限)7月10日

給与の支給人員が常時10人以上となり、源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなった場合は、「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」を提出することが必要です。

この届出書を提出した場合には、その提出した日の属する納期の特例の期間から所得税法第216条に規定する納期の特例の承認の効力が失われます。

(例) 届出書を提出した日が3月中の場合

(給与等)1月~2月支給分 → (納期限)4月10日(※)
(給与等)3月支給分 → (納期限)4月10日
(給与等)4月以後支給分 → (納期限)翌月10日

※ 1月~2月分は、納期特例分の徴収高計算書を使用し、3月分以降は、一般分(毎月納付用)の徴収高計算書を使用します。

なお、これらの納付期限が日曜日、祝日などの休日や土曜日に当たる場合には、その休日明けの日が納付期限となります。

給与等の支払を受ける者が常時10人未満であるかどうかの判定

日雇労働者を通常5人から10人雇い入れており、常雇の従業員が8人である場合

日雇労働者を加えると給与等の支払を受ける者が常時10人以上となる場合、納期の特例を適用することはできない。

(所得税法第216条)
源泉所得税の納期の特例制度は、給与等の支払を受ける者が常時10人未満の源泉徴収義務者に限り認められている制度です。

(所得税基本通達216-1)
この「給与等の支払を受ける者が常時10人未満である」かどうかは、給与の支払を受ける者の数が平常の状態において10人未満であるかどうかにより判定することとされています。

(所得税基本通達216-1(2))
労働者を日々雇い入れることを常態とする場合には、たとえ常雇人の人数が10人未満であっても、日々雇い入れる者を含めて常時10人未満でなければ、この特例を適用することはできません。

(所得税基本通達216-1(1))
なお、労働者を日々雇い入れることを常態としない者が繁忙期には臨時に使用した人数を含めると給与の支払を受ける者が10人以上となるような場合には、給与の支払を受ける者は常時10人未満であるものとされ、納期の特例を適用することができます。

この記事を書いた人

mtbcpa

東京都文京区の税理士・公認会計士です。
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