カーボンニュートラルに向けた投資促進税制とは?

カーボンニュートラルに向けた投資促進税制とは、生産工程効率化等設備等を取得した場合に、特別償却又は税額控除を適用できる制度です。

制度の概要

 青色申告書を提出する法人で認定エネルギー利用環境負荷低減事業適応事業者(注1)であるものが、産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律の施行の日(令和3年8月2日)から令和6年3月31日までの期間(「適用期間」)内に、認定エネルギー利用環境負荷低減事業適応計画に記載された生産工程効率化等設備等の取得又は製作若しくは建設をし、国内にあるその法人の事業の用に供した場合には、その供用年度において特別償却又は税額控除(注2)のいずれかの規定の適用を受けることができます。

(注1)認定エネルギー利用環境負荷低減事業適応事業者とは、産業競争力強化法第21条の16第1項に規定する認定事業適応事業者のうち、認定エネルギー利用環境負荷低減事業適応計画(同条第2項に規定する認定事業適応計画のうち、同法第21条の13第2項第3号に規定するエネルギー利用環境負荷低減事業適応に関するものをいいます。)にその認定エネルギー利用環境負荷低減事業適応計画に従って行う同号に規定するエネルギー利用環境負荷低減事業適応のための措置として生産工程効率化等設備等を導入する旨の記載があるものをいいます。

(注2)所有権移転外リース取引により取得した情報技術事業適応設備については、特別償却の規定は適用されませんが、税額控除の規定は適用されます。

適用対象法人

 適用対象法人は、青色申告書を提出する法人で認定エネルギー利用環境負荷低減事業適応事業者である法人です。

適用対象年度

 適用対象法人が、適用期間内に、適用対象資産の取得等をし、これをその事業の用に供した場合におけるその事業の用に供した日を含む事業年度(「供用年度」)(注3)とされています。

(注3)供用年度からは、合併以外の事由による解散の日を含む事業年度及び清算中の各事業年度を除くこととされています。

適用対象資産

 適用対象資産は、その認定エネルギー利用環境負荷低減事業適応計画に記載された生産工程効率化等設備等でその製作又は建設の後事業の用に供されたことのないものとされています。生産工程効率化等設備等とは、産業競争力強化法第2条第13項に規定する生産工程効率化等設備又は同条第14項に規定する需要開拓商品生産設備をいいます。

償却限度額

 特別償却限度額は、次の区分に応じそれぞれ次により計算した金額となります。

(1) 生産工程効率化等設備等の取得価額の合計額が500億円以下の場合

 特別償却限度額=生産工程効率化等設備等の取得価額×50%

(2) 生産工程効率化等設備等の取得価額の合計額が500億円を超える場合

 特別償却限度額=500億円×(生産工程効率化等設備等の取得価額/生産工程効率化等設備等の取得価額の合計額)×50%

税額控除限度額

 税額控除限度額は、次の区分に応じそれぞれ次により計算した金額とされています。

(1) 生産工程効率化等設備等の取得価額の合計額が500億円以下の場合

 税額控除限度額(調整前法人税額の20%(注5)を上限)=生産工程効率化等設備等の取得価額×5%(一定の場合(注6)には10%)

(2) 生産工程効率化等設備等の取得価額の合計額が500億円を超える場合

 税額控除限度額(調整前法人税額の20%(注1)を上限)=500億円×(生産工程効率化等設備等の取得価額/生産工程効率化等設備等の取得価額の合計額)×5%(一定の場合(注6)には10%)

(注5)「デジタルトランスフォーメーション投資促進税制(情報技術事業適応設備を取得等した場合の特別償却又は税額控除)」による法人税額の特別控除及び生産工程効率化等設備等を取得した場合の法人税額の特別控除との合計で調整前法人税額の20%相当額が上限とされています。

(注6)一定の場合とは、生産工程効率化等設備のうちエネルギーの利用による環境への負荷の低減に著しく資するものとして経済産業大臣が定める基準に適合するものに該当する場合又は需要開拓商品生産設備に該当する場合をいいます。

その他注意事項

(1) 「税額控除限度額」の規定は、中小企業者又は農業協同組合等以外の法人が、平成30年4月1日から令和6年3月31日までの間に開始する各事業年度において次の要件のいずれにも該当しない場合(その事業年度の所得金額が前事業年度の所得金額以下である場合を除きます。)には、適用できません。

1 継続雇用者給与等支給額  > 継続雇用者比較給与等支給額
2 国内設備投資額 > 当期償却費総額  × 30%

(2) 一の資産についてこの制度による特別償却と税額控除との重複適用は認められません。

(3) 本制度による特別償却又は税額控除の適用を受ける資産は、租税特別措置法上の圧縮記帳、他の制度による特別償却又は他の制度による税額控除の規定の重複適用は認められません。

(4) 特別償却の適用を受けるためには、確定申告書等に償却限度額の計算に関する明細書等を添付して申告する必要があります。
 また、税額控除の適用を受けるためには、控除を受ける金額を確定申告書等に記載するとともに、その金額に関する明細書等を添付して申告する必要があります。

(5) 特別償却の適用を受けることに代えて、特別償却限度額以下の金額を損金経理により特別償却準備金として積み立てること又はその事業年度の決算確定日までに剰余金の処分により特別償却準備金として積み立てることにより、損金の額に算入することも認められます。

この場合、確定申告書等に特別償却準備金として積み立てた金額の損金算入に関する申告の記載をし、その積み立てた金額の計算に関する明細書を添付する必要があります。

《連結納税制度》
 連結納税制度においても、上記と同様の措置が講じられています。

この記事を書いた人

mtbcpa

東京都文京区の税理士・公認会計士です。
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