法定調書の提出義務者とは?

法定調書とは、「所得税法」、「相続税法」、「租税特別措置法」及び「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」の規定により税務署に提出が義務づけられている資料をいいます。

主な法定調書の提出義務者

「給与所得の源泉徴収票」

俸給、給料、賃金、歳費、賞与その他これらの性質を有する給与の支払をする方

「退職所得の源泉徴収票」

法人の役員に対して退職手当、一時恩給その他これらの性質を有する給与の支払をする方

ただし、死亡退職により退職手当等を支払った場合は、相続税法の規定による「退職手当金等受給者別支払調書」を提出することになりますので、「退職所得の源泉徴収票」は提出する必要はありません。

「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」

外交員報酬、税理士報酬など所得税法第204条第1項各号並びに所得税法第174条第10号及び租税特別措置法第41条の20に規定されている報酬、料金、契約金及び賞金の支払をする方

「不動産の使用料等の支払調書」

不動産、不動産の上に存する権利、総トン数20トン以上の船舶、航空機の借受けの対価や不動産の上に存する権利の設定の対価の支払をする法人と不動産業者である個人の方

「不動産等の譲受けの対価の支払調書」

不動産、不動産の上に存する権利、総トン数20トン以上の船舶、航空機の譲受けの対価の支払をする法人と不動産業者である個人の方

「不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書」

不動産、不動産の上に存する権利、総トン数20トン以上の船舶、航空機の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払をする法人と不動産業者である個人の方

マイナンバー等の記載

平成28年1月1日以後の金銭等の支払等に係る法定調書については、金銭等の支払を受ける方及び支払者等のマイナンバー又は法人番号を記載する必要があります。

ただし、「給与所得の源泉徴収票」等で、支払を受ける方に交付するものについては、マイナンバーを記載しません。

※所得税法等に告知義務が規定されている一部の法定調書については、マイナンバー及び法人番号の告知について6年間の猶予規定が設けられており、その間告知を受けるまでは、マイナンバー又は法人番号を記載しなくてもよいこととされています。

なお、マイナンバー・法人番号の告知についての6年間の猶予期間は令和3年12月31日で終了します。

主な法定調書の提出期限等

上記の法定調書は、原則として、支払の確定した日の属する年の翌年1月31日までに支払事務を取り扱う事務所、事業所等の所在地を所轄する税務署長に提出しなければなりません。

これらの法定調書を提出する場合には、「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」を作成し、添付する必要があります。

また、法定調書は、届出書の提出等所定の手続により、書面による提出に代えてe-Tax(国税電子申告・納税システム)や法定調書の記載事項を記録した光ディスク等(CD、DVDなど)により提出することもできます。

なお、令和4年1月1日以後は、あらかじめ税務署長に届け出ることによって、クラウド等(国税庁長官の認定を受けたものに限ります。)に備えられたファイルにその法定調書に記載すべき事項を記録し、かつ、税務署長に対してそのファイルに記録された記載情報を閲覧し、及び記録する権限を付与することにより法定調書の提出をすることもできます。

(注)法定調書の種類ごとに、前々年の提出すべきであった当該法定調書の枚数が100枚以上である法定調書については、e-Tax、光ディスク等又はクラウド等による提出が必要です。

例えば、令和2年1月に提出した「給与所得の源泉徴収票」の枚数が「100枚以上」であった場合には、令和4年1月に提出する「給与所得の源泉徴収票」は、e-Tax、光ディスク等又はクラウド等により提出する必要があります。

非居住者又は外国法人に対して支払をする場合の支払調書の提出

租税条約等により日本と自動的情報交換を行うことができる各国等に住所がある方の支払調書については、同じものを2枚提出します。

「給与支払報告書」等の市区町村への提出

法定調書の提出義務者は、「給与支払報告書」及び退職所得に係る「特別徴収票」をそれぞれ所定の市区町村に提出する必要があります。

「給与支払報告書」を市区町村へ提出する場合には、「給与支払報告書(総括表)」を添えて提出します。

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mtbcpa

東京都文京区の税理士・公認会計士です。
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