給与所得者で確定申告が必要なのはどんな人?

大部分の給与所得者のかたは、給与の支払者が行う年末調整によって所得税額が確定し、納税も完了します。

そのため、確定申告の必要はありません。

しかし、給与所得者であっても確定申告が必要になる人もいます。

給与所得者であっても次のいずれかに当てはまる人は、原則として確定申告をしなければなりません。

給与の年間収入金額が2,000万円を超える人

1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得および退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人

2か所以上から給与の支払を受けている人のうち、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった給与の収入金額と給与所得および退職所得以外の所得金額との合計額が20万円を超える人

(注) 給与の収入金額の合計額から、雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除以外の各所得控除の合計額を差し引いた金額が150万円以下で、かつ、給与所得および退職所得以外の所得金額が20万円以下の人は、申告の必要はありません。

同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人

災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている人

源泉徴収義務のない者から給与等の支払を受けている人

退職所得について正規の方法で税額を計算した場合に、その税額が源泉徴収された金額よりも多くなる人

給与所得および退職所得以外の所得金額の合計額には、次の所得は入りません。

上場株式等の配当等や非上場株式の少額配当等で確定申告をしないことを選択したもの

特定口座の源泉徴収選択口座内の上場株式等の譲渡による所得で、確定申告をしないことを選択したもの

特定公社債の利子で確定申告をしないことを選択したもの

源泉分離課税とされる預貯金や一般公社債等の利子等

源泉分離課税とされる抵当証券などの金融類似商品の収益

源泉分離課税とされる一時払養老保険の差益(保険期間等が5年以下のものおよび保険期間等が5年超で5年以内に解約されたもの)

同族会社の役員で確定申告の必要な人

同族会社の役員が受け取る役員給与は、給与所得になります。

給与所得者は、1か所から給与等の支払を受けており、給与等の収入金額が2,000万円以下で、その給与について源泉徴収や年末調整を受けている場合には、給与所得および退職所得以外の所得金額の合計額が20万円以下であれば、原則として確定申告は必要ありません。

しかし、同族会社の役員が、その同族会社から給与のほかに貸付金の利子や不動産の賃貸料などを受け取っている場合には、これらの所得金額が20万円以下であっても確定申告が必要になります。

また、その役員と特殊な関係にある人の場合も同様です。

同族会社の役員とは、法人税法に規定する同族会社である法人の役員のことです。

役員と特殊な関係にある人とは、例えば、この役員の親族または親族であった人などです。

なお、会社からの給与等の収入金額が年間2,000万円を超える人については年末調整を行いませんから、ほかの所得がない場合でも確定申告が必要です。

この記事を書いた人

mtbcpa

東京都文京区の税理士・公認会計士です。
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