消費税の課税対象は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等および外国貨物の引取り(輸入取引)です。
(注)電気通信回線(インターネット等)を介して、国内の事業者・消費者に対して行われる電子書籍・広告の配信等のサービスの提供(「電気通信利用役務の提供」といいます。)については、これまで、国内の事務所等から行われるもののみ消費税が課税されていましたが、平成27年10月1日以後、国外から行われるものについても、消費税が課税されることとされました。
国外事業者が行う「電気通信利用役務の提供」のうち、「事業者向け電気通信利用役務の提供」(例:「広告の配信」等)については、当該役務の提供を受けた国内事業者に申告納税義務を課す「リバースチャージ方式」が導入されました。
国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等
事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等を、3つに区分してみていきます。
(1)事業者が事業として行う取引
(2)対価を得て行う取引
(3)資産の譲渡等
(1)事業者が事業として行う取引
「事業者」とは、個人事業者(事業を行う個人)と法人をいいます。
個人事業者の場合、例えば、小売業や卸売業をしている人をはじめ、賃貸業や取引の仲介、運送、請負、加工、修繕、清掃、クリーニング、理容や美容といった業を営んでいる人はすべて事業者になります。さらに、医師、弁護士、公認会計士、税理士などの人も事業者になります。
株式会社などの会社、国、都道府県や市町村、公共法人、宗教法人や医療法人などの公益法人など、法人はすべて事業者になります。なお、法人でない社団または財団で、代表者または管理人の定めがあるものは、法人とみなされることにより事業者となります。
「事業として」とは、対価を得て行われる資産の譲渡等を繰り返し、継続、かつ、独立して行うことをいいます。
例えば、商店が販売用の商品を売った場合や、運送業者が運送サービスを提供して対価を受け取るような場合が典型的なものです。
なお、事業活動の一環としてまたはこれに関連して行われる取引も課税対象となります。例えば、商品の配達用に使用していたトラックを売ったときのように、事業に使用していた自動車、機械、建物などの事業用資産を売った場合も、事業として行う取引になります。
しかし、個人事業者が事業用でない自家用車やテレビなどの生活用に使用していた資産を売った場合には、事業として行う取引とはなりませんので、消費税は課税されません。
また、個人の中古車販売業者が行う中古車の売買は事業として行う売買になりますが、給与所得者がたまたま自分の自家用車を手放す行為などは、事業として行う売買とはなりません。
なお、法人は事業を行う目的をもって設立されたものですから、その活動はすべて事業となります。
(2)対価を得て行う取引
「対価を得て行う」とは、物品の販売などをして反対給付を受けることをいいます。すなわち反対給付として対価を受け取る取引をいいます。
例えば、商品を販売して代金を受け取ったり、事務所を貸し付けて家賃を受け取ったり、工事を請け負って代金を受け取ったりするような取引です。
また、交換、代物弁済、現物出資などのように金銭の支払を伴わない資産の引渡しでも、何らかの反対給付があるものは、対価を得て行われる取引になりますので、課税の対象となります。
負担付き贈与については、その負担部分を対価として行われる取引になります。
しかし、単なる贈与や寄附金、補助金、損害賠償金などは、一般的には対価性がありませんので、原則として対価を得て行われる取引に当たりませんので、課税の対象になりません。
無償の取引や宝くじの賞金なども原則として課税の対象になりません。
また、試供品や見本品の提供は対価を受け取らない限り課税の対象になりません。その他、商品を販売する際にサービス品をつけたり、自社製品を得意先に無償で贈与した場合も対価を得て行われる取引となりません。
なお、個人事業者が自分が販売する商品などを家庭で使用したり消費した場合や、法人が自社製品などをその役員に贈与した場合には、対価を得て行われたものとみなされ、消費税の課税の対象となります。
(3)資産の譲渡等
消費税法上、「資産の譲渡等」とは、事業として有償で行われる商品や製品などの販売、資産の貸付けおよびサービスの提供をいいます。
外国貨物の引取り(輸入取引)については、保税地域から引き取られる外国貨物が課税対象となります。
この場合、引き取る者が事業者であるかどうかは問いませんので、事業者はもとより一般消費者も納税義務者になります。