概要
消費税の課税の対象は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等と輸入取引です。
これに当たらない取引には消費税はかかりません。
これを一般的に不課税取引といいます。
例えば、国外取引、対価を得て行うことに当たらない寄附や単なる贈与、出資に対する配当などがこれに当たります。
課税売上割合の計算上の非課税と不課税の違い
非課税取引と不課税取引では、消費税が課税されないことは同じですが、課税売上割合の計算においてその取扱いが異なります。
課税売上割合は、分母を総売上高(課税取引、非課税取引および免税取引の合計額)とし、分子を課税売上高(課税取引および免税取引の合計額)としたときの割合です。
非課税取引は、原則として分母のみに算入しますが、これに対して、不課税取引は、そもそも消費税の適用の対象にならない取引ですから、分母にも分子にも算入しません。
不課税取引の具体例
(1) 給与・賃金
雇用契約に基づく労働の対価であり、「事業」として行う資産の譲渡等の対価に当たらないからです。
(2) 寄附金、祝金、見舞金、国または地方公共団体からの補助金や助成金等
一般的に対価として支払われるものではないからです。
(3) 無償による試供品や見本品の提供
対価の支払いがないからです。
(4) 保険金や共済金
資産の譲渡等の対価といえないからです。
(5) 株式の配当金やその他の出資分配金
株主や出資者の地位に基づいて支払われるものであるからです。
(6) 資産について廃棄をしたり、盗難や滅失があった場合
資産の譲渡等に当たらないからです。
(7) 心身または資産について加えられた損害の発生に伴い受ける損害賠償金
対価として支払われるものではないからです。
しかし、損害賠償金でも、例えば次のような場合は対価性がありますので、課税の対象となります。
イ 損害を受けた製品などの棚卸資産が加害者に引き渡される場合で、その資産がそのままで使用できる場合や、軽微な修理をすれば使用できる場合
ロ 無体財産権の侵害を受けたために受け取る損害賠償金が権利の使用料に相当する場合
ハ 事務所の明渡しが期限より遅れたために受け取る損害賠償金が賃貸料に相当する場合